ゼルダの伝説 夢をみる島DX

お祭り的なノリと明るい世界観、
そして心に残るストーリー。

  • 対応機種 ゲームボーイ(カラー対応)
  • 発売日 1998年12月12日
  • ゲームジャンル 2Dアクションアドベンチャー

画像出典:ニンテンドー3DSバーチャルコンソール ゼルダの伝説 夢をみる島DX

ゲーム内容

オリジナルは1993年販売の
「ゼルダの伝説 夢をみる島」。
本作はゲームボーイカラー対応ソフトとしてリメイクされたものです。オリジナルのほうは残念ながら筆者は未プレイ。

ストーリー

修行の旅に出ていたリンクは船でハイラルに戻る途中、嵐に巻き込まれてしまい、荒れ狂う海の中に放り出されてしまう。

長いこと意識を失っていたリンクは、少女の家で目を覚ました。
少女の名はマリン。
リンクが流れ着いたのは「コホリント島」という島。
海岸に流れ着いていたところを彼女に介抱されたらしい。

目を覚ましたリンクは失くした剣を探しに海岸へと向かった。
するとそこにフクロウが現れ、
「コホリント島を脱出するには、『かぜのさかな』を目覚めさせる必要がある」
と告げられることになる。

リンクはコホリント島から脱出することができるのか?
そもそも「かぜのさかな」とは一体何なのか?

様々な謎を抱えながら、コホリント島での冒険が始まった。

主なキャラクター

リンク
主人公。お馴染み緑の勇者。
「神々のトライフォース」のリンクと同一人物で、ガノンドロフを倒したあとに修行の旅に出ていた。
名前を自由に決められるが、平仮名しか使えないため、「りんく」と名付けられることが多かったりする。
マリン
コホリント島のメーベの村に住んでいる、リンクを介抱した少女。
リンクいわく「ゼルダ姫にそっくり」。
歌が大好きで、いつも「かぜのさかなのうた」を歌っている。
基本的に心優しい性格だが、とあるイベントではっちゃけた一面を見せることも。
タリン
「だーよ」が口癖のマリンの父親(だと思われる)。
森で魔法をかけられたり寝てばかりいたりと、いろいろ抜けたおじさん。
見た目が「あの任天堂の赤いヒゲ」にそっくり。
フクロウ
リンクが行く先で現れるフクロウ。
コホリント島のことや「かぜのさかな」について教えてくれるが、その正体は謎につつまれている。
ショップ店主
メーベの村のショップの店主。
明るい性格だが、とあることをすると・・・。
※ゼルダ姫
全く登場しない。"ゼルダの"伝説なのに・・・。
目を覚ましたリンクが、マリンを見て「ゼルダ」と言うだけ。

このゲームのここがすごい

ゲームボーイなのに本編に劣らないボリューム

メインのダンジョンだけでも8つという、ゲームボーイという容量の厳しいハードでありながら相当なボリュームを詰め込んでいます。
さすがにダンジョンの数だけで見れば「神々のトライフォース」の11+αには劣るものの、ダンジョン内のボリュームや謎解きの密度はこちらも負けていません。

しかも外伝らしい独特なイベントやキャラクターが豊富で、それらが非常に丁寧に表現されています。
おかげで、据置機ゼルダと比べて物足りないと感じることはまずありませんでした。

明るい世界観

ゲームボーイのイメージや表現スペックに併せたというのもあってか、本作はゼルダシリーズとしては珍しいポップ寄りな世界観。

フィールド曲はいつものメインテーマと思いきや、後半にアレンジ。メーベの村は明るく呑気なBGMでいかにも平和といった印象。
ある意味ちょっとゼルダらしくない雰囲気ですが、どれも名曲。

BGMといえば「かぜのさかなのうた」も忘れてはいけないでしょう。本作で最重要な曲だけあって、GB音源ながらとても美しい。

たくさんのシリーズからのゲストたち

そんな雰囲気を盛り上げるのが、これでもかと言うほど登場する任天堂の他シリーズのゲストたち。

特にマリオキャラがやたら多い。最初から登場するタリンからして完全にマリオそっくり。後半にはちゃんとルイージのそっくりさんも登場。

ワンワン、ヨッシー(の人形)、クリボー、プクプク、ゲッソー・・・
そもそもダンジョン内にある横スクロールパートとか完全にマリオそのものです。
唯一違うのは主人公がマリオじゃなくてリンク(当たり前だけど)。

マリオ以外で有名なものはカービィとゴルドーでしょう。
今となっては超メジャーですが、当時はデビューしたばかり。
(本作のオリジナルが1993年、初代「星のカービィ」が1992年発売。)

マイナーな作品からも
「リチャード(カエルの為に鐘は鳴る)」
「ドクターライト(シムシティ)」
などが出ていて、出典元を知っているとより楽しめること間違いなし。

他のもたくさんの小ネタ

店で商品の万引きができてしまうのはあまりにも有名なネタ。

そして名前が強制的に「どろぼー」になり、もう一度店に入ると店主からビームを撃たれ即死するのはもっと有名。
敢えて万引きができる仕様にしておいて、犯罪に手を染めたプレイヤーにきついお仕置きをするセンスは脱帽、というか怖い。

マリンもすごく可愛い。特に中盤の一緒にデートする場面ではセリフやイベントが盛りだくさん。

笑えるセリフからキュンとするシーン、さらには黒い一面まであって、毎回のように反応見たさでストーリーが進まなくなるくらい。
他にも印象に残るセリフをたくさんしゃべってくれるので、見つけたらこまめに話しかけずにはいられません。

雰囲気からは想像もつかないストーリー

と言った具合で、平和なイメージや明るい小ネタに溢れた本作。

しかしゲームの後半から明らかになっていく真実、そしてエンディングはそんな雰囲気からは想像もできない内容でした。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、ハッピーエンドとは程遠い、せつない、そして悲しい。
でも、どこか考えさせられる。

そして、エンディングを知った上でもう一回プレイしてみると、数々のイベントやシナリオが全く違って見えてくるのです。
マリンのセリフは一転して心に突き刺さってくる。
「かぜのさかなのうた」も改めて聞くとむしろ悲壮感を感じさせる印象に変わってしまいました。

他のゼルダ作品とはまずお目にかかれないシナリオ。
それどころか、このような胸を締め付けられるような感覚は、RPGのようなストーリー性の高いジャンルのゲームですらそう見られないのではないでしょうか。

ここが気になる・ここが残念

アイテムの装備が面倒

他のゼルダシリーズ同様、アイテムを手に入れてアクションの幅を広げていくわけですが、A、Bボタンに1つずつしかアイテムを装備できない。
しかも剣やペガサスの靴(ダッシュするのに必要)といった頻繁に使うアイテムも装備しないと使えないため、装備の変更が非常に多い。

そのたびにスタートボタンでメニューを開閉しなくてはいけないので、特にたくさんのアイテムを使うゲーム後半は結構面倒だったりします。

といってもボタン数が少ないゲームボーイでは、剣専用のボタンなどを割り当てる余裕もないので、しょうがない部分もあるでしょう。

セーブが不便

「神トラ」でもそうでしたが、本作でもセーブするためにはゲームを終了しなければならず、セーブ自体はどこでも可能とはいえ少々不便。

セーブ画面を開くには「A+B+スタート+セレクト」の同時押しが必要なのも地味に厄介。
というのも、同時押しの判定が妙に厳しく、「何度もメニュー画面や地図ばかり開いてしまう」ことが多い。

難易度

歯ごたえのある高めの難易度

難易度は高めです。
筆者の感覚では「神トラ」と同じくらい。

特に本作は序盤が結構な難所でした。
最初から妙にわかりにくい謎解きが複数あり、レベル1のダンジョンはボスが妙に手強い。

シナリオや雰囲気が独特な一方、謎解きやアクションは「神トラ」ベースなので、そちらをプレイ済みならある程度やりやすいかと思います。

総合評価

「神トラ」に匹敵するボリュームを、ゲームボーイの限られた容量において実現することに成功。
外伝作品という位置づけとはいえ、ゼルダシリーズ特有の謎解きや探索はしっかりと楽しむことができます。

しかし本作の目玉はやはり、たくさんのゲストキャラや可愛らしいヒロインなど、明るくポップな世界観。
そしてそれらを一気に覆す悲壮感溢れるシナリオ。

勧善懲悪とはまるで違うストーリーと、それを際立たせる演出は秀逸というしかありません。
「シリーズの中でも本作が一番好き」という人が多数いますが、それも納得がいくほどのインパクトをもった作品でしょう。

せつなくも深い物語とそれを引き立てる世界観。
「携帯機で遊べるゼルダ」に留まらない名作。

おススメ度:

こんな人におすすめ

  • 明るい雰囲気のゼルダがやりたい人
  • 小ネタやお遊び要素が好きな人
  • せつないシナリオが好きな人

今から遊ぶなら

ニンテンドー3DSでバーチャルコンソール配信されているので、今から遊ぶならそちらがおすすめ。

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